ごく普通の会社員ジャック。彼は街の独裁者カボスの娘と付き合っていることがバレ、カボスにボコボコにされてしまう。後日、ジャックがカボスの部屋を訪れると、仕返しに来たと勘違いしたカボスが再びジャックに襲い掛かる。しかし、カボスは足元のゴルフボールに滑って頭を強打!気を失ってしまう。ジャックが友人を連れ部屋に戻ってみるとカボスが下着姿で転がっていた。状況が把握できないジャックたちはとりあえずカボスをトイレの個室に隠すことに。
同時に、チーノの息子ボッチャも父親を奴隷扱いするカボスへの復讐を企み、身代金誘拐を計画してカボスを待ち伏せ。駐車場にやってきたカボスの頭に袋を被せ誘拐する。それはカボスではなく、自分の父親とも知らずに。
映画界に多くの優秀な人材を輩出している国、メキシコ。監督では「バベル」のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、「天国の口、終わりの楽園」のアルフォンソ・キュアロン、俳優では数多くの映画に出演しているガエル・ガルシア・ベルナルなどなど。そんなメキシコで5人に1人が観たという大ヒットクライムサスペンスが本作「カクタス・ジャック」。
「カクタス・ジャック」、とにかく脚本が抜群に巧い。映画は街の権力者カボスと清掃員チーノが入れ替わってしまい、ひょんなことから2つの誘拐事件に発展するところから始まります。成り行き上仕方なくしてしまった誘拐、父親の恨みを晴らすためにした誘拐。そしてその2つの誘拐事件に関わることになる複数の人物。これらの事象が絡み合い、繋がっていく展開には引き込まれずにはいられません。多少強引ではあるものの、息も付かせぬ巧みなストーリー展開に加えメキシコらしいユーモアまで混ぜられると、そういう細かいことはどうでもよくなります。とにかくおもしろい!
登場するキャラクター達も魅力的。主人公が魅力的な作品は数あれど、「カクタス・ジャック」は特に脇役がおもしろい。主人公達を助ける伝説のレスラー・ルベンの情に厚いマヌケっぷりや、ルベンのボディーガード・トニーの謎っぷり、「アモーレス・ペロス」の時とは打って変わりドジな誘拐犯を演じるグスターボ・サンチェス・バラや飼い鳥を愛するアパートの隣人などなど、挙げればキリがありませんねこれは。
日本ではさして話題にはなっていない作品ながら、映画実力国メキシコで大ヒットした作品だけあってかなりの良作。ただし、一応R-15指定みたいなので、観賞の際はご注意を。