オレゴン州郊外に住むジャスティンは、17歳にして、いまだ「親指を吸うクセ(サムサッキング)」が治らず悩んでいた。おかげで父親には怒られ、好きな子にも愛想をつかされてしまう。そんなある日、知り合いの歯医者ペリーが「本気で指しゃぶりを直したいか?」と聞いてくる。ジャスティンは、彼に言われるまま「親指が苦くなる」催眠術をかけてもらう。おかげで親指しゃぶりは止められたものの、サムサッキングという精神安定剤を失ったジャスティンは、ますます不安がつのり挙動不審に。
ついに彼は精神病(ADHD)と判断され、抗うつ剤を処方される。その薬を飲むようになり、ジャスティンは見違えるほど活動的で、頭脳明晰な優等生に変身。ディベート部の部長になり、大会でも見事な成績を残すようになる。しかし同時に、今の自分は本当の自分なのか、薬によってつくられた自分なのかと悩むようになり…。
サムサッキングが悩みである少年の成長を描いたドラマ。
17歳は、とかくテーマにされやすい年齢です。有名なものだと、「17歳の処方箋」「17歳のカルテ」、ペネロペ・クルス主演の「17歳」なんてのもあります。子供とも大人ともとれない微妙な年齢だし、思春期というデリケートな時期だけに、映画の題材になりやすいのかもしれません。
そこで本作サムサッカー。サムサッキングに悩むジャスティンの年齢はズバリ17歳。ちょっとストレスを感じると、一人閉じこもってサムサッキング。勇気を出して好きな子に告白するも、サムサッキングが原因で愛想をつかされてしまう。ここまでは普通の思春期成長ものですが、キアヌ・リーブス演じる歯科医に催眠術をかけられ、サムサッキングをやめてから少しずつ流れが変わってきます。
でも、この展開がイマイチ。ストーリーが進むにつれ、重い要素をいれて何とか話としておもしろくしようという匂いがしてどうも受け入れずらい。だけど、重い要素を追加していく割りに映画のトーンは軽いままなので、現実味は薄く、悩み自体がその人物にとってどれだけ重いものなのかが伝わりにくくなっているように思います。
途中からは、主人公自身の悩みよりも周囲に悩みの対象が移っていくので、主人公の年齢を17歳に設定した意味もあまりなくなってきあます。まぁ、大人にでも子供にでも、誰にでも悩みはあるという展開を据えていて、その導入を多くの人が共感しやすい17歳の人物にした、ということかもしれませんが。
最終的にジャスティンは麻薬に手を出すのですが、その麻薬を渡すのは、ジャスティンが一度愛想をつかされた少女レベッカ。レベッカはもともとジャスティンと同じディベート部で、部長。しかし、なぜか突然退部。そして不良に。この間一切の説明はありません。ジャスティンに麻薬を使わせるためだけにわざわざレベッカを不良にさせるという脚本が作られたような感じが…。
主人公ジャスティンを演じたのは、新人ルー・プッチ。彼は本作でベルリン国際映画祭の銀熊賞<最優秀男優賞>とサンダンス映画祭における特別審査員演技賞を獲得。確かにあの繊細な演技は素晴らしい。彼を含め、ジャスティン一家の演技により、本作は支えられているように思います。
個人的には、レベッカを演じたケリ・ガーナーに支えられた部分が非常に大きかったですが。まぁ、それは良いか…。