ハイテンション

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ハイテンション アンレイテッド・エディション

女子大生のマリーは親友のアレックスとともに、彼女の実家へと向かっていた。2人は都会の喧騒を逃れ、静かな田舎で試験勉強に励む予定なのだ。

夜遅く、2人はアレックスの実家に到着する。だがその直後、謎の中年男が玄関に現われ、アレックスの家族を次々と惨殺したのだった。物陰に隠れ、必死で息を潜めるマリー。今度はアレックスが殺人鬼に捕まり、トラックで連れ去られてしまった。彼女を助けようと、自らトラックに忍び込むマリーだったが…。

その残酷描写から、日本での公開が見送られていたというフランス産スプラッター。 確かに残酷描写はもの凄くリアルで残酷。 しかし、「ハイテンション」の一番の魅力は、そのような描写よりも、タイトル通り「ハイテンション(極度の緊張感)」にあります。

映画が始まり、殺人鬼がマリーの家族を殺害するまでは、結構な時間があり、しかも説明的で退屈です(まぁ、この部分が後々伏線として効いてくるわけではありますが)。 ですが、殺人鬼が家に乗り込んでからは常に緊張の連続。心拍数が上がりっぱなしでした。

ゆっくりと家の中を動く殺人鬼。それを隠れながら目で追う主人公マリー。そのような中、残酷に殺害されていくアレックスの家族。CGを使わず表現されたスプラッターシーンは実にリアル。個人的には”赤くなくドス黒い血液”が非常に印象的でした。

カメラワークも実に巧く、恐怖・緊張感を高めると共に、観客の視線をマリーの視線に否応無く同調させます。加えて、マリーを演じるセシル・ドゥ・フランスの抜群の演技力も加わるため、どこまでも緊迫した状態が続くのです。

ただ、このような緊張感や残酷描写も、CGをスンナリ受け入れている人達からすれば、たいしたこと無い、という風に写るかと思います。個人的にはCGが使ってあると胡散臭くて安っぽく、観るに耐えませんが、映画を観るかたの大半はCGか特撮かなんて気にしないと思うので、そのような場合、派手なシーンの無い「ハイテンション」はおとなしい作品に見えてしまうのではないでしょうか。多分、コアなスプラッター好きも然り。

以下、ネタバレ含みます。

いたるところで酷評されている本作の”オチ”。実は殺人犯はマリーが生み出した妄想で、全て殺害行為を行っているのはマリーだった、というものです。

まぁ、確かに単純にそのように観れば、辻褄が取れず上手く話がまとまらなくなります。が、個人的にはこの”オチ”は結構好きでした。

なぜかというと、「ハイテンション」では、現実部分と妄想部分の区別がハッキリとしていないから。どこが現実で、どこからが妄想か明示されていないので、「辻褄が取れない」ということ自体当たり前というか。この現実と妄想、現実と虚構の区別が曖昧になる世界観こそ、本作の脚本の醍醐味ではないでしょうか。

で、気になるシーンがあったので、もう少し深読みしてみました。そのシーンというのは、冒頭の「マリーの夢のシーン」と、終盤の「アレックスがマリーから逃げるシーン」。両方とも、「殺人犯から逃げ、偶然通りかかった車に助けを求める」というシーンですが、この2シーン、全く同じなのです。逃げているのがマリーかアレックスかという違いだけ(厳密に言えば運転手も違いますが)。 ココがどうも引っかかるんですよねー。

冒頭のマリーの夢のシーンが、マリーの妄想の引き金になっているとするなら、終盤のアレックスのシーンも、実は「コレはマリーの妄想ではなく、アレックスの妄想でした」っていうのを表す引き金になっているんじゃないかなと。何の意味も表さないシーンなら、全く同じようにする必要はないですからね。

まぁでも、もの凄くカッコイイ映画でした。それだけで充分です。個人的には。やはりフランス映画の雰囲気はどこか好き。

製作
2003年
フランス
監督
アレクサンドル・アジャ
出演
セシル・ドゥ・フランス
マイウェン
フィリップ・ナオン
フランク・カルフン
アンドレイ・フィンティ
ワーナ・ペリーア

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