あおげば尊し

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あおげば尊し

父の命は、長くてあと3ヶ月。父の希望で、病院を出て自宅療養することになるが、父と同じ教師の光一は、父の最期をどう看取ればいいかわからない。

その頃、光一のクラスの生徒の間で、ネットで死体の写真を見ることが流行する。そのことで、叱ってみるが、どうしていけないの?という生徒たちの疑問に答えられない光一。悪化していく父を見ながら、光一は生徒達に最期の時間を生きる父の姿を見せる課外授業を計画する。それは頑固な父の最後の授業だった。

「教育」や「死」を扱っているけれど、安易に結論を出したりせず、どこかドキュメンタリー風なタッチで、「現実」が描かれている映画でした。

主人公の光一を演じるのは、テリー伊藤。もともと俳優ではないし、熱い人なので、光一のような「どうすればよいか迷っている」という静かな人物を演じるというのはどうかと思いましたが、実際に映画を観てみると、とても良い配役だったと思いました。存在感がありながら、他の邪魔をせず溶け込んでいる、という絶妙なバランスがとれていて、どこかドキュメンタリーな感じがする本作と、「自然さ」という部分で非常に良くマッチしていたと思います。監督の市川準さんは、テリー伊藤に「演技することを禁止した」らしいですが、市川監督のそういった「自然さ」を追求する演出も、本作を良作にした一因だったと思います。

また、光一の父を演じた加藤武の、静かな熱演、凄すぎです。まさに俳優の極みではないでしょうか。”演技”というものを越えた何かがあるように感じました。

ストーリーもとても素晴らしい。淡々としていながらも、優しく包むような雰囲気があり、泣かせようとする押し付けがましさがないのに、何故か涙を流してしまう。(私は”最後の授業”以降不覚にも…。)ベタになりそうな要素が多々あるものの、そういった方向に走らず、自然に、現実的に進むストーリーには非常に好感が持てました。「感動」という簡単な言葉で済ませるのが失礼になると思えるほどです。

ここまで書いて何ですが、「あおげば尊し」の魅力は、どうも口では上手く表現できません。よく外国人にはわからない日本人独特の感性というのがありますが、本作にはどこかそういった感じがあって、まぁ、実際に観てみないとわからないだろうなぁという感じがします。それと、実際に身の周りの人の「死」を体験したことがある人と無い人とでは、捉え方というか、感じ方が違う部分もあるかと思います。

製作
2005年
日本
監督
市川準
出演
テリー伊藤
薬師丸ひろ子
絵沢萠子
大倉孝二
入江雅人
麻生美代子
加藤武

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