銀幕のメモワール

  1. Home
  2. レビュー
  3. 銀幕のメモワール

銀幕のメモワール

第2次世界大戦前に活躍し、その後消息を絶った伝説の銀幕スター、シルヴァン・マルソーのドキュメンタリー映画を作ろうとする青年に残された手がかりは、リザという名の女性の存在だった。リザを訪ねるものの、自分の名を隠し過去を語ろうとしないのだが、青年の熱意によって彼女はシルヴァンとの生涯唯一の恋を徐々に語りはじめる…。

第2次世界大戦時のフランスを舞台にした、美しくも悲しい愛の物語。映画は、老婦人リザに第2次世界大戦当時の出来事を語らせるという形で進行します。

25歳の映画監督サムは、ユダヤ人でありながらユダヤ人であることを隠している両親に憤りを感じていた。なぜ両親は過去のことを話してくれないのか、なぜ両親は自分のことをユダヤ人としてではなくフランス人として育てるのか…。

そんな中、サムは第2次大戦時に消息不明となった伝説の銀幕スター、シルヴァン・マルソーの生涯をドキュメンタリーにする企画を立てる。サムは少ない手がかりを元に、シルヴァンの恋人だったリザの元を訪れる。はじめはサムの両親と同じように、リザも過去のことを話すということを拒んでいたが、サムの熱意により、リザは当時のことを語りだすのだった。

この作品では、「ユダヤ人であることの苦悩」が中心に描かれています。戦争時に無差別に行われたユダヤ人狩り、差別。そして、自分を偽る苦悩、恋人との別れ——このような苦悩を、若いサムがリザへの取材を通して知り、両親がなぜユダヤ人であることを隠すのか、そして「ユダヤ人とは何なのか」を徐々に理解していく姿が非常に上手く描かれています。リザが語る美しい恋と悲哀の物語、両親が涙ながらに語る悲しい過去。この二つの物語を上手くリンクさせながら同時に描くことで、主人公が徐々に理解していくのと同じように、私も徐々に引き込まれていきました。映画の結末も、すべてがハッピーエンドという訳ではないけれど、とても綺麗。

この映画は俳優陣も魅力的。リサを演じるのはジャンヌ・モローとマリオン・コティヤール。フランスを代表するベテラン女優ジャンヌ・モローは深みのある演技。言葉が無いシーンでも表情だけで魅せてくれる。若き日のリサを演じるマリオン・コティヤールはTAXiシリーズにも出演しています。「銀幕のメモワール」では非常に重要な役柄ですが、見事に演じきっています。それになによりとても美人です。他にも、サムの父を演じるミシェル・ジョナズなど、非常に人情味のある役柄で自然と涙を誘います。

リザがシルヴァンとサムを重ね合わせる姿、サムがリザと両親を重ね合わせる姿、両方ともはっきりとは描かれてはいないけれど、それがとてもフランス映画らしい。単なるメロドラマで終わらない、深みのある映画です。

製作
2001年
フランス
監督
ピエール・グランブラ
出演
ジャンヌ・モロー
ブノワ・マジメル
マリオン・コティヤール

コメント(0)

コメントフォーム

トラックバック(0)

この記事のトラックバックURL
http://cinema.2inc.org/review/88.html/trackback

PageTop