ウィスキーのCM撮影のため、東京にやって来た落ち目のハリウッド・スターのボブ。カメラマンである夫の仕事に「ヒマだから」と同行して来たシャーロット。ボブはスタッフとのコミュニケーションがうまくいかず、また家庭の問題もあり、次第に孤独感を感じるように。シャーロットも仕事の忙しい夫に構ってもらえず、初めての東京の街に戸惑うばかりだった。自分の居場所が見つけられず不安を感じていた二人は、偶然ホテルで出会う。同じような心の空洞を抱えた二人は、やがて互いの存在に心安らぐようになっていく…。
この映画、まず映像がとても綺麗です。映像自体が綺麗だし、構図も良い。ところどころで使用されているハンドカメラ的な映像も良い味を出していると思います。
そしてストーリー。特に大きな展開はないものの、淡々とした中で描かれる雰囲気、孤独感は秀逸。友情ではないし、恋愛とも少し違うけど、なぜかお互いを必要に感じてしまう、みたいな、どこか中途半端というか淡いという感じが、女性で無いと撮れない映画だなと思います。主演の二人の演技も自然で、セリフがないところの「間」とかスカーレット・ヨハンソンの笑い方とか個人的にかなり良いと思います。ところどころに笑えるところもあり、全体的に静かだけど、なぜか引き込まれてしまって、見てしまいます。。こういう映画はアメリカにはあまりないタイプだなぁと。女性監督が撮ったいう感じが全体を通して感じられます。この映画の静かで淡い雰囲気はかなりお気にで、なぜか何回も見たくなるような映画です。
また、映画の舞台は東京。「WASABI」という東京を舞台にした映画がありますが、あれが酷かっただけに、「ロスト・イン・トランスレーション」の東京の描き方は自然で良かったと思います。「WASABI」では東京という舞台にいる外国人が相当浮いて見えたけど、「ロスト・イン・トランスレーション」では全然存在が浮いて見えなかったので。
ただ、この映画は「恋愛映画」ではありません。お互いに相手のことを必要としているけど、恋愛とも、友情とも少し違う感情。そういう微妙な心理描写があったからこそ、アカデミー賞をとることができたのでしょう。
アカデミー賞の脚本賞も受賞している作品ですし、静かなでシャレた雰囲気の映画が好きな方にオススメです。