そして、ひと粒のひかり

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そして、ひと粒のひかり

コロンビアの小さな田舎町に住む17歳の少女マリアは、家計のためにバラ農園でトゲ抜きのバイトをしているが、些細なことから仕事をやめることに。そして、ボーイフレンドの子どもを妊娠していることも発覚する。そんなある日、パーティで知り合った若者から、麻薬を胃の中に飲み込み、ニューヨークへ密輸する仕事を紹介される。いったんは躊躇するマリアだったが、一度運べば最大5000ドルという想像もつかない額の報酬に仕事を引き受けてしまう。そして彼女は、袋が体内で破れたら死んでしまう危険を知りつつ、62粒の麻薬を飲み込んだ…。

世界中で多くの映画賞を獲得した作品。外国語作品ながら、主演のカタリーナ・サンディノ・モレノはアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされています。

本作「そして、ひと粒のひかり」がデビュー作となったカタリーナ・サンディノ・モレノですが、アカデミー賞にノミネートされるのも納得できます。
生活からくる憤りや、度重なる困難のために終始顔をこわばらせているマリア。しかし、お腹の中の子供のエコー映像を見たときには笑顔が溢れ、運び屋の仲間であるルーシーの死をその姉カルラに伝えるときには耐え切れず顔を崩します。17歳の少女の複雑な心境を表情だけでみせる演技力の高さには、カタリーナ・サンディノ・モレノの女優としての底の深さを感じました。

本作は、ストーリーの面でも非常に高い完成度。マリアが運び屋を引き受けるまでの前半部分は軽いタッチで描かれ、”運び屋”とうい仕事がアンダーグラウンドのものではなく、日常の中のものであるということが、如実に伝わってきます。また、マリアはどこにでもいる普通の少女であり、遊び半分で運び屋を引き受けているのではないということも、上手く表現されていたと思います。

後半に入ってからは、前半とは打って変わり、ライトな感覚はありません。飛行機を降りるなり税関職員に捕まったり、ルーシーが死んでしまったり、受取人から逃げたりと、様々な困難が立て続けに起こり、常に緊迫感、恐怖感が付きまといます。前半部分とのコントラストが良く、上手いつながり方をしているなぁと感じました。とはいっても、これらの緊迫感や恐怖感は、良くありがちなスリリングなものではなく、サスペンス的なものでもありません。あくまでリアルに、現実的に描かれているものなので、変な映画臭さはなく、直に心に伝わってくるような感じがして…。

ラストもとても素晴らしい。親友とは別の行き方を選ぶマリア。説明臭い言葉はありません。言葉は必要ないのです。全ては表情を見ればわかります。何ともいえない開放感。自分で人生を決めたマリアの”未来”を感じさせる、非常に良いエンディングでした。

本作から伝わってくるリアリティーは、監督の撮影方法によるものも大きいと思います。公式サイトによると、

配役が決まるとすぐに物語の前半部分(マリアが飛行機に乗るまで)の台本を全員に配り、翌日にはそれを回収した。それから数週間後、エクアドルに到着した役者たちに、自分の演じる人物の性格や生い立ちを念頭におきながら即興で演じるよう命じ、役者たちはあやふやな記憶を頼りに思い出せる場面から演じ始めたが、繰り返し稽古していくと、台本の内容をすっかりなぞることができるようになった。マーストンは、台本を役者の即興に合わせて書き直し、そうしてドキュメンタリーに近い緊張感を持った作品を作り上げていった。

とあります。このような手法をとったことにより、コロンビアの現状をリアルに描きつつ、映画的にも出来の良い作品に仕上げることが出来たのだと思います。

主演のカタリーナ・サンディノ・モレノとともに、監督のジョシュア・マーストンにも、今後注目していく必要があるでしょう。

製作
2004年
アメリカ
コロンビア
監督
ジョシュア・マーストン
出演
カタリーナ・サンディノ・モレノ
イェニー・パオラ・ベガ
ギリエド・ロペス
ホン・アレックス・トロ
パトリシア・ラエ

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