サラ、いつわりの祈り

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サラ、いつわりの祈り

平穏で幸せな毎日を送っている7歳の少年ジェレマイア。ある日、そんな彼の前に突然実の母親であるサラが姿を現わす。実は、ジェレマイアは小さいころから里親に育てられていたのだった。サラは相変わらずドラッグや売春に手を染め、荒れた暮しから抜け出せずにいた。各地を転々とし、男を次々と変えていくサラの自由奔放な生き方に馴染めず、そのうえ激しい虐待も受けるジェレマイア。それでも、サラは彼女なりの形で息子に愛情を示し、ジェレマイアも少しずつ新しい生活に慣れていくのだが…。

娼婦の母親に育てられ、辛い生活を送りながらも、母親を愛する少年の姿を描いた作品。

全編を通して、手持ちカメラを使ったような撮影が行われていて、ホームビデオのような感じがあります。そのため、子供が感じる”恐怖”や”不安”をよりリアルに感じることができ、実際に近くで観ているようにさえ思えてきます。また、静止画を使ったり、ぼかしを使ったり、アニメーションをつかったりと、様々な撮影技法が効果的に用いられていて、映画的にもリアリティが伝わってくるし、映像的にもスタリリッシュなので見入ってしまいます。

また、本作は出演者も魅力的です。まずは、監督・脚本・主演の3役を務めたアーシア・アルジェント。彼女の体当たりの演技はスゴすぎます。サラのイカれた感じがものすごく伝わってきて、アーシア自身こんな人間なんじゃないか、という気さえするほどです。

次に、ジミー・ベネット。彼は幼少期のジェレマイアを演じていますが、上手すぎます。泣きじゃくる様子とか、痛がる様子とか、全てがものすごくリアル。撮影では実際に叩かれたりはしていないと思いますが、実際に叩かれていると感じさせるような演技力。ジミー君は今後も活躍するでしょうね。

その他にも、エレファントに出演したジョン・ロビンソンや、カリスマ的人気を誇るアーティスト、マリリン・マンソン、そして万引き騒動以来となるウィノナ・ライダーも出演しています。ジョン・ロビンソンは出演オファーがたくさんきているらしいですが、知名度が上がれば、日本でもかなり人気が出るのではないでしょうか。反則的にハンサムでチャーミングな顔してますから。出演者が魅力的に見えるのも、やはりセンスの良い映像で引き立てられている部分があるからでしょう。

「サラ、いつわりの祈り」は、監督も言っていたのですが、とてもパンキッシュです。ストーリー、映像、音楽。全てからパンクな雰囲気が溢れています。予告編や広告などを観ると、「辛いながらも必死で生きる親子愛」で売っているような気がしますが、パンク路線で売っても良かったような気がします。それぐらいカッコいいし、観終わった感想としては、そっちの方がしっくりきます。それに何より、親子愛の描写が薄い。

ジェレマイアの感じる恐怖や不安、そしてサラの感じる憤り、イカれた性格などは非常に上手く描写できていたと思います。ですが、なぜジェレマイアがあんなヒドい母親について行くのか、素直に言うことを聞くのか、が分からないし、なぜサラがジェレマイアと一緒に生活しようとするのかもイマイチ伝わってきません。お互いが本能的に親子としてひかれあっているというのは何となくわかりますが、本当に「何となく」です。ラストをああいう風にするのなら、この部分はもっと重要に描くべきではなかったのでしょうか。

また、本作はJTリロイの少年時代を描いた自伝小説を基にしたという映画でした。つまり、「サラ、いつわりの祈り」のなかの”ジェレマイア”はJTリロイの少年時代ということになります。映画も、また、小説自体も、JTリロイの人生が衝撃的な”実話”だからこそ注目を浴びたのだと思いますが、実はこれは真っ赤な嘘(参考)。なんとJTリロイは存在しないのです。「サラ、いつわりの祈り」DVDの映像特典(インタビュー、メイキング)にはJTリロイなる人物が出演していますが、明らかに女なので、なんかオカシイなぁとは思っていましたが、まさか全てが嘘とは。。ウィノナ・ライダーのプロフィールには、”ウィノナとリロイは友人”とまで書いてあるし。いねぇじゃん。

嘘をでっち上げてまで実話ということにこだわる必要があったとは、私は思えません。小説の方はわかりませんが、少なくとも、映画のほうは実話である必要性が感じられません。ストーリー自体おもしろいし、雰囲気自体がカッコいいので”実話”という部分で売り込まなくても…。まさか知らなかったということは無いだろうし。まぁ、それはそれでパンクということでしょうか。

製作
2004年
アメリカ
監督
アーシア・アルジェント
出演
アーシア・アルジェント
ジミー・ベネット
ピーター・フォンダ
オルネラ・ムーティ
ジョン・ロビンソン
ディラン・スプラウス
コール・スプラウス
マリリン・マンソン
ウィノナ・ライダー
マイケル・ピット
ジェレミー・レナー
キップ・パルデュー
ジェレミー・シスト
ベン・フォスター

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