アメリカで生まれ、アフリカとイスラエルで育った少女ラナは、10年ぶりに故郷アメリカに帰ってきた。長年あっていない伯父に亡き母の手紙を届けるために。伯父ポールは誇り高き自由の地、アメリカを一人で守ろうとしている。ヴェトナム戦争のトラウマに悩まされ、友人もなく、家族もいない。アラブ系のホームレスが殺される現場に居合わせた二人は再会する。ラナはその遺体を家族のもとに届けるため、ポールは事件の真相を突き止めるため、一緒にアメリカを横断するたびに出る。ロサンジェルスから最果ての地トロナを経て、夢と悲しみの街ニューヨークまで。
9.11テロを背景に、家族愛、そしてアメリカへの愛を描いたロードムービー。監督は、巨匠ヴィム・ヴェンダース。
良い映画だとは思いますが、正直クサいところが目立ちました。毎回毎回、何か行動するたびに無線に話しかけている(もしくは録音?)とか、ヴェトナム戦争のときの悪夢でうなされるシーンなど、演技、演出が過剰すぎます。過去の辛い体験にうなされ、9.11をきっかけに、”たった一人”で”アメリカ”を守ろうとする、というのがとても滑稽であり、だからこそ、それが感動的な部分につながる、というのは非常におもしろいとおもいました。ただし、それはあくまで設定が現実的であるからこそ映えるものではないでしょうか。あまりに演出的、映画的な部分が目立ちすぎて、せっかくのおもしろさが半減しているように感じました。
実際に観る前までは、「ランド・オブ・プレンティ」は9.11以降、妄信的に対テロを進めるアメリカを風刺した作品だとばかり思っていました。そして、そこに魅力を感じていました。しかし、実際に観てみるとそうではありませんでした。途中までは、ホームレスの現状を表す描写があったり、相手がアラブ人というだけでテロリストだと決め付けてしまうポールの存在などがあり、風刺作品のような雰囲気がありました。ですが、真相がわかった以降は…。ラストは唐突に貿易センタービル跡地が映し出され、ラナが唐突に希望的発言をします。結局、ただのアメリカ万歳映画なのか、という感じがしてしまい、何か釈然としないというか…。
と、まぁ、さんざん書きましたが、前述した通り、良い映画だとは思います。ストーリー、俳優、音楽、映像、雰囲気。全てにおいてとても良質な映画です。演出以外。まぁ、私にはヴェンダース監督の演出が合わなかったということでしょうか